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i-Treeとは

都市の樹木には、美しい景観をつくりだすことや、
温室効果ガスの吸収、ヒートアイランド現象の緩和、
雨水の流出を抑制するなどの多様な機能があります。
こうした樹木がもつ機能は、大変重要なものですが、
私たちの目で見ることができないので、わかりにくいものです。
i-Tree(アイツリー)は、この樹木のもつ機能や価値を量で示し、
人々がイメージしやすい形に置き換えることができるツールです。
もともとi-Treeは米国で開発されましたが、ヨーロッパを中心に広がり、
今では40か国以上で利用するなど、世界に広がりつつあります。
日本でも、大学などの研究機関や民間事業者による利用が広まりつつあります。
今回、大阪市では、市を代表する街路樹の「御堂筋イチョウ」を対象に、
i-Treeを活用して、樹木がわたしたちの生活や環境にどれだけ役に立っているのかを、 数字で表しました!!
御堂筋イチョウの、1本1本の樹木情報は、
「マップナビおおさか」よりご覧いただけますので、
ぜひご覧ください。
イチョウ1本1本がもつ機能や効用を、
みなさんがイメージしやすい形で発信することで
市民の皆さまにもっと、樹木に関心をもっていただき、
現在、大阪市が進めている、
街路樹や公園樹の健全で活力ある保全育成に向けた様々な取組みに対して、
ご理解やご協力につなげていければと考えています。
どのような価値を発信するの??
御堂筋i-Treeでは、
樹木の高さや幹の太さ(幹周)などの基礎情報とともに、
『炭素固定量』、『大気汚染物質除去量』、『雨水流出量削減』
の3項目について、価値を算定し公表することとしました。
1 炭素固定量 



■説明
炭素固定とは、樹木が二酸化炭素(CO2)を吸収し、
光合成によりつくりだした栄養分を、
体の中にたくわえる(固定)こと
■算定の考え方
《概要》
1年後(成長後)の樹木の胸高直径※・樹高の推定値と、
現在との差により、1年間の樹木の炭素固定量を推定します。
※高さ1.2mの位置での樹木の幹の直径
《計算式》
炭素固定量=成長量×0.5※
成長量=1年後の乾燥重量-現在の乾燥重量
※樹木の乾燥重量に対する炭素の重量の割合
2 大気汚染物質除去量 


■説明
工場や自動車などから排出される大気汚染物質が、
樹木の葉に吸着することで、
空気が浄化されること
■算定の考え方
《概要》
大気中にある、一酸化炭素(CO)、二酸化窒素(NO2)、
二酸化硫黄(SO2)、 PM2.5 について、
1時間あたりの樹木の葉への沈着量(=樹木による大気汚染物質除去量)を
沈着する速度と、大気汚染物質の濃度により推定します。
《計算式》
沈着量=沈着速度×大気汚染物質濃度※
沈着速度=1÷(大気の抵抗+葉に沈着する時の抵抗)
※大気質の測定局の値を使用
なお、PM2.5については、
一度、葉に沈着したものが
①風によって、葉から大気へ再び浮遊する
②降雨によって葉から地面へ洗い流される
ことも考慮した上で、1年間の大気からの除去量を推定します。
3 雨水流出量削減 

■説明
樹木があることで、樹木の葉が一時的に雨水を遮断するとともに、
樹木の蒸発散で雨水が下水管や河川に流れ出ることを抑制します。
これにより削減される雨水の量が、雨水流出量削減です。
■算定の考え方
《概要》
樹木による蒸発散や地中への浸透なども考え、
1年間の雨水流出量を推定します。
《計算式》
雨水流出削減量=樹木がない場合の流出量※1-樹木がある場合の流出量※2
※1 降水量×非浸透面積対象地域の面積
※2 樹木がない場所の流出量+樹木がある場所の流出量※3
※3 樹冠遮断量-(樹木の蒸発散量+樹木から落ちた水滴の浸透量)
御堂筋全体のイチョウではどれくらいの価値がある?

御堂筋には、令和7年2月時点で、
約870本のイチョウが植えられています。
この約870本のイチョウがもつ価値を計算すると・・・


炭素固定量
4,986kg/年
⇒大阪-東京間を自動車で39往復した際に出るCO2量に相当!


大気汚染物質除去量
- CO:3.13kg/年
⇒大阪-東京間を自動車で6.37往復した際に出るCO量に相当! - NO2:35.6kg/年
⇒大阪-東京間を自動車で1,380往復した際に出るNO2量に相当! - PM2.5:6.93 kg/年
⇒大阪-東京間を自動車で1,390往復した際に出るPM2.5量に相当! - SO2:4.87kg/年
⇒大阪-東京間を自動車で1,280往復した際に出るSO2量に相当!
雨水流出削減量
2,315m3/年
⇒お風呂の浴槽9,850杯分に相当!

いかがでしたか?
i-Treeを使うと、こうした樹木の『見えない功績』を、
具体的な数字に変えてくれますので、
樹木のありがたみを再発見できます。
日頃、なんとなく歩きながら見ている街路樹が、
ここまで役にたっているとわかると
樹木の見方も少し変わってきますね!
大阪市では、引き続き、みなさんの樹木への愛着や関心をもっていただけるよう、
様々な工夫をこらしながら、情報発信に取組んでいきます。
御堂筋イチョウの、1本1本の樹木情報は、
「マップナビおおさか」よりご覧いただけますので、
ぜひご覧ください。