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2024.01.19 ( fri )

Osaka

【特集】健やかな樹木を育むために

2024.08.30(Fri)

INDEX


都市の価値を高める、公園樹・街路樹の存在

公園に植えられている「公園樹」と、
道路沿いに植えられている「街路樹」。

樹木は景観を美しく整え(景観形成)、
木陰など安らぎのある空間を作ってくれます。
また、空気を綺麗にして(環境保全)
まちにうるおいを与えるなど(快適性向上)、
私たちの暮らしに欠かせない存在です。

四季の移ろいや自然の美しさを表現する公園樹

さらに、雨水の流出を抑制したり、火災の延焼を抑えたりすることも(防災)。

まちに彩りを与える街路樹

公園樹や街路樹は、
都市の価値を高める重要なインフラなのです。

大阪市が行う維持管理の「これまで」と「今」

今から60年前の緑化百年宣言※1以降、
早期緑化・都市環境の改善のために
市内の公園樹や街路樹の植樹が
拡大されました。

昭和39年頃の大阪城公園。この頃から緑化が推進される
昭和39年頃の長居公園。

※1 昭和39年4月に「大阪をうるおいのある健康なまちにするために強力な緑化運動を今後 100年継続する」と宣言

大阪市が考える健全な樹木とは、
景観や環境への保全、防災、快適性、
安全性に優れ、活力にあふれていること。

そのため、古くから都市化が進んでいた大阪市ですが、
道路や公園など、限られた公共施設のスペースに、
早く成長する樹木を植栽したり、樹木を多めに植えたりするなど、
緑を増やすように取り組んできました。

しかし近年では、年月の経過により
植えてきた多くの樹木の大木化・老木化が進んできました。

公園樹では、樹木同士が競合し、陽が十分に当たらず、
樹木の育成が弱まったり、
大きくなった樹木の枝が隣接する民有地に越境したり、
街路樹では、大きくなった樹木を
車の通行や他の施設に影響がないように剪定するものの、
大きくなりすぎて、制約のある道路空間では
十分に枝を伸ばし、葉をつけることができなくなるなど、
樹木を健全に保つことが難しくなりました。

大木化・老木化した樹木

公園樹

腐朽が進行し樹勢が衰えた公園樹
台風により倒木した公園樹(ヒマラヤスギ)

街路樹

通行障害等の原因となる根上がり※2等根茎不良の街路樹(高木)

※2 地盤が固いことなどから、樹木の根が地表面で広がり成長することで、舗装等を持ち上げること。

視距阻害※3等が発生しやすい道路等の街路樹(低木)

※3 物を認識してから停止するまでの距離を妨げること

そのままにしておくと、

  • 大木化による標識の視距阻害に起因した交通事故
  • 舗装の持ち上げによる歩行者の転倒
  • 台風による老木化した樹木の倒木や幹折れ

など事故のリスクが増大します。


そこで大阪市は、「緊急安全対策」として
市民の安全・安心な暮らしに影響が及ぶおそれのある
樹木の更新を集中的に行いました。

これからの樹木の維持管理

都市にとって大切な樹木を、健全な状態で保全育成するため、
これからの樹木の維持管理として、植栽する場所に合わせて樹種を選び、
樹木の成長の状況を踏まえ、剪定や更新などの維持管理を行います。

樹木を植える場所

公園樹

周辺の道路や建物から一定以上離れた場所に、
樹木の大きさを考慮しながら、密にならないように間隔を空けて植えます。

街路樹

道路幅員が一定以上確保された場所や、植栽間隔を一定空けられる場所に植えます。

樹木の種類

植栽環境に応じた樹種を選びます。

街路樹

  • 歩道の幅が広い幹線道路には、成長の早いイチョウやケヤキなど
  • 歩道の幅が狭い生活道路には、成長の緩やかなハナミズキなど

公園樹

  • 植栽空間が限られる外周植栽には、成長の緩やかなサルスベリなど
  • 広場などの広く生育できる空間に植えるシンボルツリーには、
    成長の早い樹木を採用するなど、
    施設配置も踏まえて公園ごとに計画して植栽

樹木の成長に合わせた維持管理

街路樹

植栽環境、樹木ごとに目標樹形と適切な管理水準を定めて維持管理を行います。

公園樹

公園の空間構成、周辺状況、樹種を考慮しつつ、自然樹形を目指すことを基本として、
適切に管理水準を定めて維持管理を行います。

健やかな樹木を保つかたち・管理レベルの設定

道路や公園内の環境に応じた
最終的な樹形の目標、管理水準を設定します。

剪定を行い、樹形をコントロール

強い剪定は樹木を弱らせ、
美しい樹形を損ねてしまいます。
それを防ぐために、
樹木にやさしいこまめな剪定を行っていきます。

万博連携事業

万博会場へのアクセスとなる道路を中心に、
先行して、健やかで美しく生き生きとした樹木の
育成に取り組んでいます。

これまで

強い剪定により、太い枝のみが残されている状態


現在

美しい樹形を目指し、若くて細い枝も残します


これから

剪定後のイメージ 写真提供:明治神宮外苑(東京都)

バランスの取れた美しい樹形を目指していきます

御堂筋での取組み

御堂筋では、樹木の根が道路空間に合わせて
自由に伸長することのできる空間を確保するために
「根系誘導耐圧基盤」
という工法を導入しています。

イチョウが十分に根を伸ばせるスペースを確保でき、
健全な樹木の保全育成と、美しい景観の維持が期待できます。

御堂筋の並木

御堂筋をはじめ、大阪市内全域に
健全な樹木の保全育成を広げていくために
今後もこのような取組みを行っていきます。

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