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Osaka

【深掘り樹木ノート】樹木の隠れた価値をi-Treeで見える化!(御堂筋i-Tree)

2025.11.26(Wed)

INDEX


i-Treeとは

都市の樹木には、美しい景観をつくりだし、温室効果ガスの吸収、ヒートアイランド現象の緩和、雨水の流出を抑制するなど、多様な機能があります。

こうした樹木がもつ機能は、とても重要なものですが、私たちの目で見られるものではないので、わかりにくいですよね。

御堂筋の美しいイチョウ

i-Tree(アイツリー)は、こうした樹木のもつ機能や価値を量で示し、みなさんがイメージしやすい形に置き換えることができるツールです。

もともとi-Treeはアメリカで開発されたツールですが、ヨーロッパを中心に広がり、今では40か国以上で利用するなど、世界中に広がっています。

日本でも、大学などの研究機関や民間事業者による利用が広まりつつあります。


今回、大阪市では、市を代表する街路樹で大阪市指定文化財となっている「御堂筋のイチョウ」を対象に、i-Treeを活用して、樹木がわたしたちの生活や環境にどれだけ役に立っているのかを、 数字で表しました!!

御堂筋のイチョウ1本1本の樹木情報は、「マップナビおおさか」より地図上でご覧いただけますので、ぜひご覧ください。

また、御堂筋のイチョウ1本1本の一覧形式のcsvデータは、大阪市オープンデータポータルサイトよりダウンロードいただけます。

イチョウ1本1本がもつ機能や価値を、みなさんがイメージしやすい形で発信することで、もっと樹木に関心をもっていただき、現在、大阪市が進めている、街路樹や公園樹の健全で活力ある保全育成に向けた様々な取組みに対して、ご理解やご協力につなげていければと考えています。

どのような価値を発信するの??

御堂筋i-Treeでは、樹木の高さや幹の太さ(幹周)などの基礎情報とともに、『炭素固定量』、『大気汚染物質除去量』、『雨水流出量削減』の3項目を算定し公表しています。

■算定の考え方

《概要》
現在の樹木の大きさ(胸高直径・樹高)と、1年後に成長した時に推定される樹木の大きさの差から、1年間で樹木がどれほどの量の炭素を固定するか(吸収してたくわえたか)を推定します。
 ※胸高直径…高さ1.2mにおける樹木の幹の直径を指します。

《計算式》
炭素固定量=成長量×0.5
成長量=1年後の乾燥重量-現在の乾燥重量
 ※×0.5…樹木の乾燥重量に対する炭素の重量の割合を掛けています

■説明

工場や自動車などから排出される大気汚染物質が、樹木の葉に吸着することで、空気が浄化されること

■算定の考え方

《概要》
大気の中を漂う大気汚染物質が、1時間あたりどのくらいの量、どれほどの速さで樹木の葉へ吸着するかを、大気汚染物質の濃度から推定します。

ここでは、一般的な大気汚染物質として、一酸化炭素(CO)、二酸化窒素(NO2)、二酸化硫黄(SO2)、 PM2.5 について算定しています。

《計算式》
吸着量=沈着速度×大気汚染物質濃度
吸着速度=1÷(大気の抵抗+葉に吸着する時の抵抗)
※大気汚染物質濃度…大気質の測定局の値を使用しています

なお、PM2.5については、一度樹木の葉に吸着した後でも、
①風によって、葉から大気へ再び浮かぶ
②雨によって、葉から地面へ洗い流される
ことも考慮した上で、実際に1年間で大気からの取り除かれる量を推定します。

■算定の考え方

《概要》
樹木が行う蒸発散や、雨水が地中へ浸透することなども考え、1年間の雨水流出量を推定します。

《計算式》
雨水流出削減量=樹木がない場合の雨水の流出量※1-樹木がある場合の雨水の流出量※2

※1 降水量×非浸透面積対象地域の面積
※2 樹木がない場所の雨水の流出量+樹木がある場所雨水の流出量※3
※3 樹冠遮断量※4-(樹木の蒸発散量+樹木から落ちた水滴の地中への浸透量)
※4 樹冠遮断量…樹木の枝葉の広がりの部分が遮る雨水の量

御堂筋全体のイチョウではどれくらいの価値がある?

御堂筋には、令和7年2月時点で、約870本のイチョウが植えられています。

この約870本のイチョウがもつ価値を計算すると・・・

炭素固定量

4,986kg/年
大阪-東京間自動車39往復した際に出るCO2量に相当!

大気汚染物質除去量

  • 一酸化炭素(CO):3.13kg/年
    大阪-東京間自動車6.37往復した際に出るCO量に相当!
  • 二酸化窒素(NO2):35.6kg/年
    大阪-東京間自動車1,380往復した際に出るNO2量に相当!
  • 二酸化硫黄(SO2):4.87kg/年
    大阪-東京間自動車1,280往復した際に出るSO2量に相当!
  • PM2.5:6.93 kg/年
    大阪-東京間自動車1,390往復した際に出るPM2.5量に相当!

雨水流出削減量

2,315m3/年
お風呂の浴槽9,850杯分に相当!

いかがでしたか?

i-Treeを使うと、こうした樹木の『見えない功績』を、具体的な数字に変えてくれて、樹木のありがたみを再発見できます。

日頃、なんとなく歩きながら見ている街路樹が、ここまで役にたっているとわかると樹木の見方も少し変わってきますね!

大阪市では、引き続き、みなさんの樹木への愛着や関心をもっていただけるよう、様々な工夫をこらしながら、情報発信に取組んでいきます。

御堂筋イチョウの、1本1本の樹木情報は、「マップナビおおさか」よりご覧いただけますので、ぜひご覧ください。

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